紹介客は月50件。信頼される美容師に「紹介カード」や「紹介特典」は不要
大阪・梅田エリアでひときわ平均単価が高いCHAINON(シェノン)梅田のマネージャー、杉山玲介さんが気になり秘訣を聞いたところ、その答えは、どんなテクニックにも勝る、〇〇〇〇にありました。
―ミニモはいつから使っていますか?
ミニモがスタートした時からです。それまでmixiの「カット・カラーモデル募集」コミュニティでモデル募集していたので、その流れで、自然にミニモを使い始めました。
スタート時のミニモは、カットモデル募集アプリの要素が強く、お客様の多くが「安く(もしくは無料)でカットできる」という感覚で来店していました。それが、ここ2~3年で急速に、通常メニューでも集客できるツールとして機能し始めた印象があります。
僕の考えですが、通常メニューで集客できるツールになった理由は、3つあると思います。
■1つめは、ミニモ運営側の営業努力。
■2つめは、ミニモのサービス提供歴が長くなり、口コミが多いスタイリストも増えたことなどで、アプリの信頼度が上がっている点。
■3つめは、アシスタント時代から使っている人がスタイリストになり、カットモデル募集ではなく、通常メニューの提供にシフトしたことです。
僕自身、始めはモデル募集で使っていましたが、スタイリストになったときに、通常メニューの提供ページに一新しました。
―昨日までモデル募集ページだったものが、翌日から通常メニューがメインのページになると、既存のお客様が居なくなりませんか?
確かに、モデルとして利用していたお客様で、来なくなった方々はいます。ですが、そのお客様たちが残してくれた数多くの口コミが信用となり、新規のお客様につながるので、とくに問題はなかったです。いずれカットモデル募集はしなくなるわけですし、良いタイミングになりました。
単価アップも口コミも〇〇〇〇の結果としてついてくるもの
通常メニューだけにシフトしたとき、最初に心掛けたのが、「自分の色を決める」でした。「〇〇なら杉山さんだよね」と言われるような、自分だからこそできる技術をアピールしようと。
僕は薬剤について調べるのが好きなので、まずは薬剤の知識が生かせる何かにしようと思いました。
次に、もっとも感動値が高い技術にしようということで、縮毛矯正を強みに決めました。縮毛矯正をされるお客様は、本当に深刻な髪の悩みを抱えている人が多く、僕らの技術でサラサラになった髪を見て、感動して泣きだす人もいるほどです。
縮毛矯正はやり直しが効かないため、高度な技術と知識を必要とします。だからこそ、勉強して、経験を積んで、他店で縮毛矯正できないと言われたお客様もキレイにしてあげられるスタイリストになろうと思いました。ヘアケアマイスターの資格を取ったり、薬剤関係のセミナーに参加したりして、今も腕を磨いています。
縮毛矯正を強みにできれば、結果、単価は上がります。平均単価11,000円になる月もあります。ただ、単価アップのために縮毛矯正を提供したことはないです。お客様に感動してもらえる技術を提供した、顧客満足の結果としての高単価でなければいけない。それはいつも、自分にも、スタッフにも話しています。
お客様の感動・スタッフの自信・良い口コミ・紹介。すべてにつながるマネジメントを
―杉山さんはマネージャーで、店長は居ないそうですね。
はい。店の運営方針が「トップダウン」ではなく「ボトムアップ」なので、店の長は要らない、という考え方です。マネージャーは、スタッフの意見を取りまとめ、最適な方向をアドバイスする役割です。僕の11年の美容師経験から分かること、感じることを取り入れつつ、最終的な答えは、スタッフそれぞれに決めてもらっています。
今のスタイリストたちは、早ければアシスタント経験1年でデビューします。当然、経験値が少ない。経験しながら成長するものですし、失敗も大事ですが、何より考えておいてほしいことがあります。
それは「お客様は実験台じゃない」ということ。
お金を払ってキレイになるために、自分を頼ってくださったことを、忘れないでほしい。
とはいえ、日々接客をしなければ、経験は積めませんよね。そのためにマネージャーは、若手スタイリスト個々人の技量や経験値に合うお客様を担当させるように調整しています。
これにより、お客様はキレイになり、スタッフは自信になり、良い口コミとなり、紹介につながり、顧客満足となります。
これも、単価アップと同じく、「口コミや紹介獲得のため」では意味がありません。「お客様の満足」を目指した結果、口コミや紹介につながることで、長く愛されるスタイリストになれます。僕自身、この考え方で、多い月は50件くらいを紹介のお客様が占めることがあります。
―月に50件もの紹介につながるのは、やはり顧客満足度が高いということでしょうね。
そうだと嬉しいですね。
お客様が帰るとき、「キレイになりましたね」という会話で感動をシェアして、「お友達やご家族に見せてね」「良かったらお友達や家族も連れてきてね」とダイレクトに伝えていて、そこから紹介につながっている感覚はあります。
店を出るときって、キレイに仕上がったばかりで気分が上がっていると思うんです。この瞬間を共有して、一緒に感動して、感動をお友達や家族にも分けてあげたいという気持ちを伝えています。そこに紹介カードや特典は、必要ないかな。
料金は「欲しい利益」ではなく「時間と価格」のバランスで決める
顧客満足のための心掛けはもちろん大事ですが、営業時間を有効活用するなど、物理的な対策も考えています。
例えば、料金は、接客時間とのバランスを考えて決めています。長時間かけて接客して高単価にして日に1~2件より、「カット・縮毛矯正・カラー・トリートメント」を2時間半で終わらせて20,000円以内。お客様にとっては「早くて安い」から、1日8件の予約が入る。このほうがいいと、僕は考えています。
1日の担当客が多ければ、お客様はそのぶん、予約が取りにくくなります。結果「なかなか予約が取れないスタイリスト」というブランディングになり、技術の信用度や説得力が増し、紹介にもつながっています。
編集後記
とても客観的に分析し、行動されている杉山さん。
お店にとって、お客様にとって、どちらにも良い道を自然と選べているように感じました。
どんどん加速する時代の変化や、組織やマネジメントのあり方など、人としてどんな経験も成長に変えてく姿勢が必要不可欠なんだなと思いました。