新型コロナ禍の影響を受けながら「目元のトータルビューティー」がトレンド化し、急成長を見せる”アイブロウ市場”。
そんな業界全体の流れをコロナ禍前からいち早くとらえ、アイブロウ技術のプロデュースを行う清水小夜香さんは、「パリジェンヌラッシュリフト」の生みの親でもあります。
今回の取材では、アイラッシュ業界の最前線で活躍される清水さんに、アイブロウ市場拡大の背景と展望、サロンでの導入メリットについて詳しくお伺いしました。
※パリジェンヌラッシュリフトとは、『次世代まつげパーマ』として高い人気を誇るアイラッシュ技術で、ミニモ内フリーワード検索マツパ部門において1位を獲得しています。
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パリジェンヌビューティーグループ
代表取締役社長 清水 小夜香様
印象的な目元が叶う「まつ毛エクステ」に感動したことをきっかけに目元美容に目覚め、国内に5店舗を展開するアイラッシュサロンのほか、米国アイラッシュブランドである『XTREME LASHES』の国内唯一の正規代理店になる。
世界に負けないアイラッシュ文化を日本で発展させるべく立ち上げた次世代印象まつ毛パーマ『Parisienne Lash Lift』では、コンプレックスを隠すことやトレンドを追うことばかりではなく、自らが持つ目元の美しさを引き出す技術を提唱。革新的なまでに美しい仕上がりは瞬く間に拡散し、アイ業界に新風を巻き起こす。
メイドインジャパンの革新的な技術や理論を発信しつつ、“本来の美しさを引き立てる”という美のコンセプトへの共感者の協力を得ながら事業を多角化。このコンセプトを基に美容サロンのブランド力向上に関わる事業としてアイブロウ講習やフェイスワックス講習、コスメブランド『Paris.』を新たに立ち上げる。目元美容家として、そして美容サロンの経営やブランディングにまつわる様々なトピックスに対応するスペシャリストとして、最前線にて精力的に活動を続けている。
現在は、目元だけにとどまらず、香りの価値を高めるべく『parisienne fragrance』を立ち上げ、香りの本場パリにも拠点を設ける。美容や香りを通してビューティー業界全体の未来を切り開いている。(株式会社IL 公式サイト)
会社沿革
2005年 株式会社LE’A創業
2011年 Le’a長岡店、上越店 オープン
2012年 Angels by Le’a オープン
2013年 白金台Le’a SECRET ROOM オープン
2014年 株式会社IL創業 XTREME LASHES 日本上陸、日本総代理店契約
2016年 TOPLE’A / Le’a Loves オープン
2017年 パリジェンヌラッシュリフト リリース
2018年 講習会スタート
2019年 パリジェンヌジュシィブロウ リリース
パリジェンヌワックス リリース
2020年 パリスドット / e-CAMP リリース
2021年 パリオフィス オープン / パリジェンヌフレグランスリリース
パリジェンヌブロウリフト リリース
PARISBROW リリース
アイラッシュ業界における変化
―眉毛市場の成長についてお聞かせください。
ここ1〜2年で眉毛美容の人気が高まり、美容雑誌でも特集が組まれるようになった一方、アイブロウメニューを提供できるサロンは多くありません。
市場のニーズに対して、アイブロウの技術者が足りていないのが現状です。
数年前までアイブロウメニューは「眉毛専門店」で提供されていた経緯があり、マツエクとは異なる業界で成長しました。
ところが、アイラッシュ業界ではアイブロウに対する認識が変わるきっかけが起こります。
―どのような変化があったのでしょうか?
マツエクは3年前の2018年頃から衰退期に入りましたが、一定数の需要はあったので、あえてマツエク以外のメニューに力を入れる必要はありませんでした。
ところが、同じ時期にパリジェンヌラッシュリフトの人気が広がり、マツエク以外のメニューで売上を伸ばすことに成功します。
この経験から、多くのマツエクサロンが新しい技術を追っていく重要性に気づき、アイブロウ技術を追う流れが加速しました。
すでにアイブロウ技術を学び始めていた人たちも、当時はこのような流れになると想像できなかったかもしれません。
ですが、来年や再来年には、眉毛メニューがないことがサロンにとってマイナスになるくらい常識化されていると思います。
眉毛美容がトレンド化した背景
―コロナ禍では、マスク着用時に見える「目元部分」のメイク意識が変わったようです。
眉毛ニーズが生まれたのは、コロナ禍が影響したのでしょうか?
コロナ禍はあくまできっかけの一つで、仮になかったとしても眉毛市場が伸びるのは自然な流れだったと思います。
マツエクサロンのInstagramを見ると、目元は綺麗なのに眉毛が整っていない写真が載っていることがありますよね。
もちろん技術者視点では「マツエク1本1本がきれいに装着されているか」というこだわりも必要ですが、お客様目線で見ると違和感を覚えてしまいます。
なぜなら、目元だけマツエクで綺麗にしても、眉毛が整っていないと美しくはないですよね。
お客様の中に「目元だけでなく眉毛まで綺麗にしたい」というニーズが高まったので、技術者自身も視野を広げる必要がありました。
―まずはまつ毛ニーズが隆盛して、次に眉毛ニーズが高まってきたタイミングがコロナ禍と重なり、一気に流れを加速させたのですね。
そうですね。いずれ眉毛を含むトータルビューティーを担うことになっていたはずです。
コロナ禍が追い風となったケースは他にもあって、例えば2019年頃から「香りの市場」も世界で30兆円伸びるといわれていました。
ところがコロナ禍が重なり、多くのルームディフューザーのメーカーが前年比200%のスピードで急成長しています。
アイブロウ市場と同じで、全く新しい需要が生まれるというよりは、元々成長しかけていた成長をコロナ禍が一気に加速させたといえますね。
―今後は「目元と眉毛」「ヘアと眉毛」といったトータルビューティーの需要が高まるのでしょうか?
もちろんです。眉毛メニューを提供する大半のサロンは眉毛以外の施術をメインとしていて、例えばマツエクを目的に来店したお客様に「アイブロウも試してみませんか?」と勧めるような流れで、サロンが市場を作っていくと思います。
日本ではまだ「眉毛はサロンで整えるもの」として認識されていませんが、いずれ「他の施術と一緒にサロンで手入れするもの」として求められるようになります。
―具体的には、どのようなメニューの需要が増えるのでしょうか?
一般的なアイブロウケアとして認知されるようになるのは「アイブロウデザイニング」です。
お客様に似合う眉毛の形を提案して、カットしたり、ワックスやツイザーを使ったりしながら整えるのが一番スタンダードですね。
お客様のなりたいイメージと似合う眉毛を合致させて、提案し形作っていくことが大きな付加価値を生むと思います。
アイブロウデザイニングは、パリジェンヌラッシュリフトのようにシンプルな技術ではありません。
例えるなら、技術力の高い美容師さんは、お客様の骨格や雰囲気に合わせて、なりたいイメージ・似合うヘアスタイルを作ることに長けていますよね。
こういう時代では一般の人でもいくらでも技術を磨けるので、それを上回るような提案が求められると思います。
―「骨格診断」ブームに見られるように、眉毛美容も「個人に合ったデザイン提案と高い技術力」が求められるようになるのですね。
そうですね。アイブロウ市場は今まさに転換期にありますが、今後長い時間をかけて様々な価値が生まれるので、伸び代が大きい分、美容業界全体で伸ばしていくのがいいのかなと思います。
―コロナ禍以外に、お客様が眉毛に興味を持つきっかけはありますか?
一般的に、人は「変化」が好きですよね。美容室に行くのも「髪を切りたいから」より「雰囲気を変えてイメチェンしたいから」というのが本心です。
眉毛も同じで、初めは眉毛を整えることで「今よりもかっこよく・綺麗になれるんじゃないか」という変化に興味を持ってもらえると思います。
いずれ興味から追求に踏み込んだ時、アイブロウカラー等を試す人も増えるかもしれませんね。
今後のアイブロウ市場の動向について
-今後、アイブロウ市場はどのような推移を辿るのでしょうか?
業界認知としては既に今年も伸びていますが、一般認知に関しては、認知された後を含めて時間がかかるものです。
そのため、一気に波が来るのではなく、数年かけてじわじわ伸び続けると考えています。
マツエクの場合、急激に伸びた成長期が7年、その後5年程は横ばいで推移し、衰退期に入りました。
この推移をアイブロウに当てはめると、成長期の1年目が昨年にあたるので、少なくとも今後10年は続きます。
ーアイブロウメニューの利用者割合も増えていくのでしょうか?
そう思います。
アイブロウメニューは「デザイン」ではなく「ソリューション」を提供する技術です。
ヘアで例えるなら、デザインを提供するパーマと、癖毛の悩みを解決する(=ソリューション)縮毛矯正のような違いでしょうか。
1980〜90年代は、ヘアデザイン技術といえばパーマしかなかったので、全人口の8割がパーマをかけていたそうですが、今は1割まで減りました。パーマ以外の様々なデザイン技術が生まれたからです。
一方で、縮毛矯正に関しては、今でも人口の4割が利用しています。
ソリューション技術は長く利用され続ける傾向があるので、今後は常に利用している人が4割、1度は施術を受けたことがある人は6割という市場まで伸びると思います。
ー清水さんがプロデュースされている「パリジェンヌラッシュリフト」も同じ推移を辿っているのでしょうか?
パリジェンヌラッシュリフトを始めて3年半経ちますが、店舗数・需要ともに伸び続けていて、向こう3年くらいまでは初めて体験するお客様が増える見込みです。特に、地方のサロンだとまだまだ伸びしろがあるので。
その後すぐに衰退するわけではなく、今度は常にパリジェンヌラッシュリフトをしている人の割合が女性人口の4割になればいいなと考えています。
ーありがとうございます。今回は清水様に眉毛美容が現在置かれている状況と今後の市場動向についてお話しをお伺いしました。
#最後までお読みいただきありがとうございました
「【後編】アイブロウメニューをサロンで導入する前に知っておきたいこと」の公開は2021年11月を予定しています。