「その接客、大切な人に同じことできますか?」を必ず自分に問いかけます
男性ネイリストの増加にともない、ミニモを上手く活用している男性ネイリスト、LESS IS MORE(愛知県名古屋市)のYuji.F さんを取材しました。集客テクニックや接客のコツ、ミニモの活用方法などについて、惜しみなく話してくださいました。

ピザ店や高級車ディーラー勤務からネイリストへ転身。その理由は?
――LESS IS MORE は2025年1月にオープンしたそうですが、Yujiさんはそれまでサロンでネイリストをしていたのですか?
いえ。私がネイリストになったのは約2年前で、それまではピザ店の店長や高級車のディーラーの仕事をしていました。
――そこからなぜ、ネイリストに転身したのでしょうか。
私の父が彫金師をしていて、「事業を継ぎたい」と父に話したところ、まずは外で修行を積むように言われました。さっそく修行を始め、彫金自体は楽しかったですが、誰とも話さず1人で黙々と作業する仕事が性に合わないと感じるようになりました。
そこで、自分はどんな仕事が合っているか、どんな職場で働きたいかを自己分析したところ、①細かい作業が好き ②作業は1人がいい ③接客したい ④女性のお客様のほうが得意なので女性客が多い仕事がいい、の4点に絞られました。この4点にぴったり合う職業は何だろうと探して見つけたのが、ネイリストでした。
顧客ゼロスタートで初月の予約が80件!

――そして2年前に、ネイリストになられたのですね。
はい。本当は複数のサロンで3年間は修行するつもりでした。計画では、最初の1年は安さと早さが売りのサロンで働き、2年目は高価格帯サロン…… と移行して幅広いサロンの経験を積む予定でしたが、2年目のサロンは2カ月で辞めることになってしまいました。別のサロンへの転職も考えましたが、その時点の自分なら1人でもやれるんじゃないかと思ったので、独立してLESS IS MOREを始めました。
――いきなり独立して、集客が不安ではありませんでしたか?
不安がまったくなかったわけではありません。ただ、サロン勤務のときにミニモなどの集客ツールの存在を知ったので、なんとかなるだろうと思いました。正式オープンは1月でしたが、12月からプレオープンとしてミニモを使い始めたところ、繫忙期だったこともあり、初月からいきなり80件の予約が入り、「こんなに来るんだ!」と驚きました。
――集客ゼロからのスタートで初月から80件はすごいです。
オープン価格として税込3000円にしていたのも好調なスタートを切れた理由だと思いますが、翌月も約80件でしたし、2月には100件を超えました。単価を約1000円アップしてからは、月平均90件で落ち着いています。
――数ある集客ツールの中からミニモを選んだ理由は?
コスパです。開業の初期投資を下げるには、登録料や月額利用料がかからないミニモが最適でした。また、当サロンの料金設定が3000円なので、その価格帯で来てくれそうな若いユーザーがミニモに多いことも、選んだ理由のひとつです。
デザインの上質感を出すカギは「シンプルで美しいフォルム」

――Yujiさんが提供するネイルデザインは、シンプルでありながらも輝きを意識していて、とても4000円代とは思えません。
ありがとうございます。デザインは「シンプルで美しいフォルム」にこだわっています。これは、私が宝石(彫金)や高級車に関わってきた経験に由来しています。本当にキラキラした輝きを放つものは、実はとてもシンプルで、かつフォルムが美しいです。
ネイルは、指先をキラキラと彩り、美しく魅せます。キラキラは、なにも派手な色やキャラクターを用いなくても、色の組み合わせや技術で演出できます。もちろん、個性的なネイルもいいと思いますが、私はシンプルなフォルムが生み出す美しさにこだわりたいです。
店名『LESS IS MORE』も、シンプルの美学を意味した言葉です。
――Yujiさんは接客業を長く経験していますので、接客面でもこだわりがありそうです。
もっとも接客業の経験が活きていると思う点は、自分の得意なデザインではなく、お客様に合うデザインを提供し、研究する姿勢です。お客様のファッションなどからデザインを提案することもあり、「自分では選ばない色、デザインに出合えた」と喜んでいただけます。
マナーが悪い客が来るのは「安い店だから」じゃない

――カスハラ(カスタマーハラスメント)対策のコツはありますか?
カスハラと感じるお客様が来店されたことがないので専用の対策はしていませんが、どんなお客様が顧客になるかは、サロンやネイリスト次第だと思います。よく「低単価の店にはマナーが悪い客が来る」と言いますが、それはサロンの見せ方や接客方法でいくらでも変えられるのではないでしょうか。
――Yujiさんのサロンは料金が安いのに、マナーが悪いお客様は来ないんですよね?何が違うのでしょうか。
まず、サロンの内装をラグジュアリーにして敷居を高く見せ、その雰囲気を好むお客様だけが来るようにしています。そこに初期投資するために、出店ではなくホームサロン形式でスタートしました。
家具はもちろん、音楽や香り、室温など、五感でも満足いただける空間づくりを徹底しています。こうすることで、おのずとルールやマナーを守る習慣があるお客様が増えます。もちろん、その雰囲気に見合う、お客様に寄り添った接客を心がけています。
――お客様に寄り添うとは具体的にどういう接客でしょうか?
お客様の話をしっかり聞き、愛を持って接することです。「愛」なんて言うと、抽象的すぎて分かりにくいかもしれませんね。要は、「その接客、大切な人に同じことできますか?」ということです。
すべてのお客様に対し、自分の大切な人だと思って接客すれば、その気持ちはお客様に伝わります。
愛を持って接すると、お客様も応えてくれます。私がお客様を大切にしているから、お客様も私のサロンを大切にしてくれます。こうして、お客様と一緒にサロンを育んでいます。
どんなお客様が来るサロンになるかは、ネイリスト次第なんです。
男性ネイリストを始めるなら今!
――ありがとうございます。最後に、これからネイリストを目指す男性に応援メッセージをお願いします。
周りから「男性に触られることを嫌がるお客様もいるから、男性ネイリストは集客が大変だよ」と助言されるかもしれません。たしかにそう思われるお客様もいらっしゃいますが、ほんの一部です。美容師に男性が多いことが、その証拠です。
反対に、「男性は緻密なデザインが得意そう」「男性ネイリストは男性ウケするネイルが分かる」という声は一定数あるのに、男性ネイリストはまだまだ数が少ないです。ネイルをする男性も増えていますし、男性ネイリストを始めるなら今だと思います!
編集部後記
長く接客業に従事していらっしゃったYujiさんは、技術だけでなく接客へのこだわりも強く、それがお客様に伝わって、安定した予約件数やリピート率を生み出していると感じました。性別関係なく、勉強になるお話でした。


