カリスマが育てる次世代カリスマ!早期デビューは離職を防げる?サロン経営へ与える影響は?
多くの若手美容師が離職するという美容室業界の現実。離職理由はさまざまですが、早くデビューできる環境の整備が離職率低下につながる可能性は否定できません。最近は、早期デビューができる取り組みを始める美容専門学校やサロンが出てきました。今回は、10年以上前から早期デビューを目指す学科を設けている福岡県の大村美容ファッション専門学校の入学事務局、大村純市さんに、早期デビューの必要性やメリットについて教えてもらいました。前後編に分けて紹介します。
大村美容ファッション専門学校入学事務局
大村純市さん
―大村美容ファッション専門学校の美容師の学科には、美容科とトップスタイリスト科がありますね。違いは何ですか?
美容科は、美容師としての基礎知識を身に着けて国家資格を取得するまでの2年制で、一般的な美容専門学校が提供するカリキュラムがベースになっています。トップスタイリスト科は、資格取得に加えて、卒業後すぐにJr.スタイリストとして活躍するレベルを目指す3年制です。
2022年現在、トップスタイリスト科は3学年で約45名、美容科は2学年で約220名在籍しています。
―先を見据えるとトップスタイリスト科に入学したほうが仕事的には有利に思えますが、実際は美容科を選ぶ人が多いのですね。
社会人の視点で考えるとおっしゃる通りですが、入学時点ではまだ「絶対に美容師なる!」と決めていない学生も多くいます。また、卒業後にアイデザイナーやエステティシャンになりたい人もいるなど入学動機が幅広いため、一般的な美容科の学生比率が高くなります。
トップスタイリスト科はサロン実習時間が10倍!
―トップスタイリスト科は、美容科のカリキュラムにサロン実習期間が1年プラスされるイメージでしょうか。
トップスタイリスト科を設立した2010年ごろは、美容科にサロン実習期間を1年プラスした内容でしたが、現在では、美容科とは1年目から内容が異なります。トップスタイリスト科は、3年間でJr.スタイリストとして活躍できるレベルを目指すため、資格取得に必要な授業に加え、外部講師による技術講習や美容師としての考え方の指導、薬剤理論、経営学なども学びます。サロン実習時間も、一般的な美容学校の約10倍あります。
サロンワーク経験を増やすために開業した学校運営ヘアサロン
―実習時間10倍!現場経験時間に重きを置いているのですね。サロンワークの場はどのように確保していますか?
当校運営サロン「O.designs」で現場経験ができます。美容師免許を取得した3年生を中心に、学生だけでサロンを営業しています(店長は担当教師)。開店準備や朝礼などの業務に始まり、モデルハント、集客、接客など閉店までの行動を、 通常のサロンと同じように実践します。これにより、就職してすぐに戦力として働くことが可能になります。
トップスタイリスト科の卒業生を見ていると、技術だけでなく、美容師としての意識やモチベーション、接客力などの総合的なスキルを身に着けて就職しているので、キャリアアップのスピードがとても速いです。2年制卒業生より1年遅れで就職していますが、まったく引けを取らないどころか、スタート時点での社会人スキルが高いです。
トップスタイリスト科に入学する高校生は美容師マインドが高い
―トップスタイリスト科に入学する高校生の特徴はありますか?
入学時から夢が明確な学生が多い印象です。カリスマ美容師や芸能人を担当するスタイリストを目指していたり、海外で活躍する目的があったり、志がしっかりしています。
目標が定まっているからこそ、美容科より高い学費を払ってでもトップスタイリスト科に入学したのかもしれません。(初年度学費:美容科 約150万円/年、トップスタイリスト科 約170万円/年)
#前編をお読みいただきありがとうございました
「トップスタイリスト科は、卒業後すぐにJr.スタイリストとしてデビューできるよう育成する学科だと分かりました。後編では、就職先サロンの受け入れ態勢や今後の展開について話していただきます。