田中:ヘアサロン業界は離職率が非常に高く、3年後には8割が職を離れています。
その理由が離職なのか転職なのかはわかりませんが、少なくとも卒業後8割が就職先を離れているのが現状です。
もし社員がサロンのファンになって、サロンを長く愛し続けてくれたら、離職率の改善にも繋がるのでしょうか?
美容室のファン
津田: 【連載vol.2】ファンってどんな人?でお話ししたように、ファンベースでは来店客だけではなく、「サロンを取り巻く全ての人」を味方にしていけると考えるので、もちろん社員にもファンとなってもらえます。
津田:数あるサロンの中から選んで入社してくれたのだから、入社したときはファンだったはずです。
それでも離職してしまうのはさまざまな要因があるのでしょう。
これは美容サロンに限った話ではありません。特にコロナ禍においては、一般企業や社会全般でも社員のモチベーションが下がってしまうような企業課題があるようです。
社員もファンとして大切にすることで、一緒に成長していけるので、ぜひファンベースを取り入れていただければと思います。
2つの取り組み
1. ファン社員に傾聴する
津田:有効なアプローチとして大きく2つあって、1つ目はファン社員に傾聴することです。
スタッフのなかにも、熱量が高い人とそうでもない人と、さまざまな人がいますよね。
【連載vol.3】ファンベースが必要な理由 ①売上で登場した「パレートの法則」ように、会社でも「2:8の割合」でファンがいて、10人いたら2人は熱量が高いので、そのコアなファンスタッフに「サロンのどこが好きなのか?」を傾聴することでヒントを得られます。
2つ目は、「お客さまやファンの方のポジティブシャワーを浴びること」です。
本当に愛してくれる人だけをお呼びして、コアファンにしか語れない商品・サービスへの愛を社員にも聞いてもらうファンミーティングを開く方法があります。
日頃クレームやネガティブな声のほうが届きやすいので、どうしても疲弊してしまいますが、しっかりと愛してくれる人の声を拾う仕組みや機会を作ると、モチベーションにも繋がります。
僕も企業とファンミーティングを開きますが、僕も同席した社員も感動で泣いてしまうこともあります(笑)
津田:ファンがどこを愛してくれていて、今後どこを伸ばしたらいいのかを知っているのはファンだけなので、それを聴いて知ることが第一歩です。
普段そういう話ってサロン内では恥ずかしくてなかなかできないですよね、「このサロンでモチベーション高く働いてくれてるけど、うちのどこが好きなの?」って聞きづらいですよね、日常会話の中で。
夫婦やカップルでも、「相手は自分のこういうところがいいと思っているに違いない。」と思っていても、実際に相手に聞くと全然違ったなんて話は意外と多いです。
ひょっとしたら経営者やオーナーが「こうすれば社員が喜ぶはずだ!」と思い込んでしまっているかもしれないので、まずは傾聴してみましょう。
形式ばったやり方は必要ないので、もちろんサシ飲みでもいいのですが、おすすめはファンミーティングです。
集まったコアファン同士で話してもらうことで、「ここもいいよね」「私はここが好き」というように、1人よりも好きな人同士で話すほうが盛り上がって、芋づる式に言葉が出てくるのが、ファン同士で集まる理由です。
人って好きなものがあっても、日中ずっとそれについて考えているわけではないので、急に話そうとしても言葉が出てこないですよね。
このファン同士の会話を記録しておいて、その中から自分のお店・サービスの良いところを見つけていきましょう。
津田:「スタッフファンミーティング」では、お店を愛するファンスタッフだけで集まり、「お店の良いところ・愛しているところ」をテーマに語り合っていただきましょう。
テーマ設定があると、ポジティブな場になって、モチベーションにも繋がります。
僕がファンミーティングを行うときは、紙に書いてもらって、順番に発表していきます。
最終的にわかったことをもとに、価値を見つけて磨いていくと、新しいファンスタッフが増えるかもしれません。
美容サロンは忙しいし、休みや休憩時間もばらばらで、スタッフ同士で喋る機会はあまりないと思うので、一度その場を作って対話する機会を設けてみてもいいと思います。
田中:こういう取り組みをしているサロンさんの話はあまり聞いたことがないです。
津田:社員旅行やBBQや飲み会は行っているかもしれませんが、あまりこういうテーマでは話さないですよね。
「全員向けの懇親会やイベント」ではなく、しっかりと対話することが大切なので、照れずにやってみるのがおすすめです。
②ファンの声のポジティブシャワーを浴びる
津田:2つ目は、「お客さまやファンの方のポジティブシャワーを浴びること」です。
サロンを心から愛してくれる人だけをお呼びして、コアファンにしか語れないサロンへの愛のこもった話を社員にも聞いてもらう「ファンミーティング」を開く方法があります。こちらはお客さまファンを呼ぶファンミーティングですね。
日頃クレームやネガティブな声のほうが耳に届きやすいので、どうしてもお客さまと向き合うことに疲弊してしまいます。でも、心から愛してくれる人の声を拾う仕組みや機会を作ると、スタッフの方のモチベーションアップにも繋がります。
弊社もよく企業とファンミーティングを開きますが、同席した企業の社員さんも感動して泣いてしまうこともあります。やはり嬉しいものですよね、自分たちの作っているものがちゃんと届いていたり、喜ばれているのを見るのは。
津田:あとは弊社のサービスで、お客さまの「ファン度」や「ファンの声」を簡単に知れる定額制のサービスがあります。
この「ファンベース診断Lite」でできることは、2問の設問に答えてもらうと回答者を「コアファン」「ファン」「ライトファン」「未ファン」のラベリングができ、自社のファンがどれくらいいるかの分布を見たり、度合いごとにファンの声を集めたりすることができます。
あとは、店舗ごとに比較をしたり、ファンの声のポジティブシャワーを浴びて、社員のモチベーションアップにつなげていただきたいなと思います。
田中:ポジティブシャワーの良さは、僕たちも実感しています。
ミニモでもサロンスタッフの方々を中心に、初めて「ミニモのファンミーティング」を行わせていただいて、やっぱり好きなところを語ってもらうのはシンプルに企業側のモチベーションが上がります。
サービスの思いが伝わっていたんだと思いますし、僕たちが気づいていなかった使い方があったり、参加者とお客さまとのあいだに起きたエピソードも聞けて、気付きも多かったです。
津田:よかったです。準備や手間に変えられない体験になりますし、やろうと思えば簡単にできるので、サロンでもトライいただければと思います。
今回のまとめ ✅
- 社員もファンとして大切にすることで、一緒に成長できる
- ファンベースの基本として、まずは熱量の高いファンスタッフにどこが好きなのか傾聴して、磨いていこう
- 社員のモチベーションを上げるならお客さまとの「ファンミーティング」がおすすめ
次回、サロンで実践できるファンベース施策をお届けします。